主な甲状腺疾患
- バセドウ病
- 亜急性甲状腺炎
- 無痛性甲状腺
- 橋本病(慢性甲状腺炎)
- 甲状腺腫瘍 など
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰につくられる病気のひとつです。甲状腺ホルモン分泌を促す抗体がつくられるようになります。これにより甲状腺が刺激され、頻脈、動悸、息切れ、多汗、微熱、手指のふるえ、体重減少、精神的高揚などの症状が出現します。
治療は、まずは抗甲状腺薬(MMI、PTU)を投与します。薬投与初期2ヶ月は副作用が出やすいため必ず2週間毎に通っていただき血液検査で副作用が出ていないか調べます。そのあとは受診期間を延ばし、甲状腺ホルモン値に応じて抗甲状腺薬を漸減していきます。抗甲状腺薬でコントロールできないときや重篤な副作用がみられる場合は、内用療法(放射線治療)や手術療法として甲状腺全摘術などを検討します(提携大学病院に紹介します)。
亜急性甲状腺炎
甲状腺に炎症がみられる病気です。通常、甲状腺に痛みや圧痛を伴います。発症から治癒するまでに3ヵ月程度かかるので、急性と慢性の間ということで「亜急性甲状腺炎」と呼ばれています。炎症によって甲状腺の組織が破壊され、甲状腺機能亢進の症状(頻脈、動悸、息切れ、多汗、微熱、手指のふるえ、体重減少、精神的高揚)がみられますが、炎症が治まれば、甲状腺ホルモンの分泌は正常化します。そのため、対症療法を行います。熱や痛みをやわらげるためにNSAIDsや痛みや炎症の症状が強ければステロイド薬などを使用します。
無痛性甲状腺炎
無痛性甲状腺炎は、何らかの原因によって甲状腺組織が炎症によって破壊され、その中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出す病気です。炎症を引き起こす原因は自己免疫と言われており、橋本病を基礎として発症することがほとんどです。血液検査で自己抗体の有無などで鑑別しますが、症例によっては、他の甲状腺中毒症と区別することが困難な場合もあり当院では甲状腺エコーで甲状腺の血流や上甲状腺動脈の血流速度で判断する場合があります。無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進は一過性のため、それぞれの症状に対する対症療法を行います。動悸や手の震えなどの症状が強いのであればβ遮断薬を使用することがあります。甲状腺が破壊され、経過とともに甲状腺ホルモン値が低下しすぎることもあるため、その場合は逆に甲状腺ホルモンの補充が必要になることもあります。
橋本病(慢性甲状腺炎)
橋本病は、甲状腺機能が低下する非常に頻度が高い病気で自己免疫疾患の一つです。成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人に橋本病の素因(自己抗体陽性)があるといわれています。特に30-40代の女性に発症しやすいとされています。橋本病の人の中には甲状腺ホルモンの量が不足して新陳代謝が低下し、下表のような症状があらわれます。下記の症状がみられたときは、橋本病の可能性がありますので、お早めに当院をご受診下さい。
- 寒がりになった
- 疲れやすくなった
- 動作が鈍くなった
- 甲状腺が腫大している
- 喉の違和感がある
- 全身がむくんできた
- 体重が増加してきた
- 便秘が続いている
- 筋力が低下した
- コレステロールが高くなった
甲状腺腫瘍
当院では、甲状腺エコー検査をしております。「甲状腺が腫れていると感じる」方や検診で「甲状腺腫大を指摘された」方は当院をお早めに受診し検査を受けてください。エコーをしてみて悪性が疑われる場合は提携大学病院に紹介させていただきます。