フットケア外来
(糖尿病性足病変 外来)について

フットケア外来のイメージ写真

糖尿病患者様は、合併症により足に病変をきたしやすくなっております。痛みに鈍くなり傷が出来ても気付けない(神経障害)、傷が視えない(網膜症)、血流が悪く(血管障害)、感染しやすく傷も治りづらい(易感染性)などにより下肢に潰瘍・壊疽ができやすくなっています。また巻き爪、水虫、タコ、ウオノメなども潰瘍・壊疽の原因となります。潰瘍・壊疽ができ更に放置していると下肢切断せざるをえなくなることがあります。
皮膚科・糖尿病の専門施設である当院の特徴をいかし、当院では皮膚科専門医がフットケアを行います。適切な処置をおこなえば潰瘍、壊疽のリスクを少なくすることができるので、糖尿病の方は、当院でフットケア外来も受けるようお勧めいたします。

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下肢血流の検査

当院では脚の血管のつまり具合(ABI)や血管年齢・血管の硬さ(PWV)を測定できます。「歩くと足が痛く、重くなって歩けなくなる」方や足の冷感、痺れ、色調不良(灰色、黒色)がある方は検査を推奨します。

フットケアが効果的な疾患

  • 巻き爪
  • 水虫
  • タコ
  • ウオノメ
など

巻き爪

巻き爪は、足の指にある爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。負担のかかりやすい親指の爪が巻き爪になることが多いのですが、そのほかの指の爪で起きることもあります。糖尿病があると、足指や爪まで栄養が行き渡らなくなり、巻き爪も起こりやすくなるともいわれています。
巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んでいき、次第に炎症や痛みを引き起こします(陥入爪)。陥入爪によって周囲の皮膚が化膿してしまい、そこから壊疽・切断となる可能性もあります。自分で間違った爪の切り方をしてしまうと、皮膚を傷つけ、感染、壊疽の原因となることがあります。

巻き爪と陥入爪の治療方法

巻き爪の治療

巻き爪の治療は、爪の湾曲を少しずつ改善させる矯正療法が一般的です。具体的な方法として、弾力性のあるばねの力を使って爪の両端にひっかけ、ワイヤーやコイルを用いて内側に巻き込まれた爪を外へ引っ張ります。
「マチワイヤー法」は、爪に小さな穴を開けて弾性ワイヤーを通し、ワイヤーがまっすぐ戻ろうとする性質を利用して丸くなった爪を徐々に元の形に戻します。ただし、この方法は一定の爪の長さが必要です。
「巻き爪マイスター法」は、巻き爪専用の強制具を使用する方法で、爪の白い部分が3mm以上あれば施術可能です。超弾性合金ワイヤーによって強制力を数か月間持続させることができます。
なお、外的要因によって爪の形が変わっているだけで病気ではないため、巻き爪の治療は保険適用外で自費診療となります。

陥入爪の治療

陥入爪も巻き爪と同様に矯正法によって治療されることが多いです。ワイヤーを使用する方法以外にも、ガター法などがあります。肉芽形成を伴う陥入爪に対しては、食い込み部分にチューブを挿入して痛みを和らげる方法があります。
痛み、赤み、腫れなどの症状がある場合、爪囲炎の可能性が高いです。化膿している場合は、抗生物質の内服薬などが処方されます。

その他の治療方法

軽度の巻き爪や陥入爪の場合、市販のコットンを使用して自分で痛みの処置を行うことができます(コットンパッキング)。お風呂に入った直後、爪が柔らかくなっているタイミングで、コットンを5mm前後の大きさにちぎって丸め、ピンセットで爪と皮膚が接触する箇所に挟みます。毎日入浴後に取り替えて清潔を保ちましょう。コットンが押し返すことで、陥入爪の食い込みが徐々に和らいでいきます。
また、弾力のあるテープを爪近くの皮膚に貼り、反対側に引っ張って皮膚と爪の間を広げ、食い込みを少なくするテーピングも簡便に行えます。

巻き爪・陥入爪の予防と注意事項

  1. 爪を短く切りすぎないことが重要です。爪の角をしっかり残して切るよう心掛けましょう。
  2. 爪の周囲を丸く切る習慣がある人が多いですが、これは巻き爪や陥入爪の原因となるため避けましょう。爪の先が指より内側にならない程度に長さを残して、角を切り取らないようにしましょう。そのかわり、角の尖ったところは爪やすりで整えてください(「スクエアオフ法」と呼びます)。
  3. 陥入爪を長期的に改善するには爪を伸ばすことが効果的ですが、その過程で爪が軟部組織に刺さって痛みを感じることがあります。その場合は、コットンパッキング法で痛みを和らげてください。毎日取り換えながら続けることで、爪と軟部組織の間に空間ができ、痛みを感じなくなります。その間に爪を伸ばしましょう。
  4. 足に合った靴やインソールを選ぶことも大切です。靴専門店や整形外科で正しく判断してもらい、インソールなどを作ってもらうといいでしょう。

巻き爪や陥入爪は、適切なケアと予防対策を行うことで改善できる場合が多いです。症状が重い場合は専門医に相談し、適切な治療方法を選択しましょう。

水虫

水虫から感染、壊疽の原因となることもあります。治療法はこちらです。(水虫ページへのテキストリンク)

タコ(胼胝)、ウオノメ(鶏眼)

タコ(胼胝)もウオノメ(鶏眼)も、皮膚の一部に慢性的な圧力が加わることにより、角質がその部位を守ろうと増殖し、皮膚が厚くなっている状態です。ウオノメ(鶏眼)は患部の中央部に芯があり神経が圧迫され痛みを伴う場合があります。様々な部位で発生することがありますが、サイズの合わない靴を履き続けたり歩き方によって発生しやすくなります。

タコの治療方法

タコの治療にはいくつかの方法があります。以下に主な治療法を説明します。

1. サリチル酸ワセリンの外用薬の使用
  • サリチル酸は、細胞同士を接着している蛋白デスモグレインを溶かす作用があり、硬くなった角質を柔らかくする効果があります。
  • サリチル酸が主成分のワセリンや軟膏(スピール膏)を患部に塗布することで、タコを除去しやすくなります。シールタイプの製品もありますが、周囲の皮膚にも影響するため、患部より少し小さいサイズで使用することが重要です。
2. 角化部位の削除
  • 角質を柔らかくした後、ハサミやメス、やすりなどを使ってタコを取り除きます。入浴後の柔らかい肌に対して軽石を使用することも効果的です。
3. バイオメカニクス的治療・指導
  • 上記の方法でタコを治療しても、外部刺激を受ける生活習慣を続けていると再発する可能性があります。
  • 靴のインソールやパッド、コットン、気泡ゴムなどを調整して体重や圧力を分散させることで、タコの予防効果が期待できます。また、ウォーキングフォームにも注意しましょう。
4. その他の治療
  • 末梢循環に関連する疾患や糖尿病を合併している場合は、足専門医による定期的な健診とケアが必要です。糖尿病患者は専門クリニックでの診療と指導も受けてください。
タコの予防と注意事項
  • 靴選びに注意しましょう。足に合わない靴を無理に履かないようにし、必要な場合はインソールやパッドを使用して足を保護しましょう。
  • 歩き方にも気をつけましょう。タコの原因となる歩行フォームを改善することが大切です。

ウオノメの治療方法

ウオノメの治療にはいくつかの方法があります。以下に主な治療法を説明します。

1. サリチル酸を含有する外用薬の使用
  • サリチル酸は、細胞同士を接着している蛋白デスモグレインを溶かす作用があり、硬くなった角質を柔らかくする効果があります。
  • サリチル酸が主成分に含まれる角質溶解剤(17%サリチル酸含有コロジオン、40%サリチル酸絆創膏、40%尿素など)を患部に塗布あるいはシールを貼ることで、ウオノメを除去しやすくなります。
  • サリチル酸を含む外用薬は、まわりの皮膚にも影響するため、患部そのものよりも少し小さいサイズで使用することが重要です。事前にワセリンで正常な周辺皮膚を保護するのも良いでしょう。
2. 角化部位の削除
  • 角質を柔らかくした後、ハサミやメス、やすりなどを使ってウオノメの硬化した部分を取り除きます。入浴後の柔らかい肌に対して軽石を使用することも効果的です。
  • ウオノメは芯を除去しないと再発するため、皮膚科で丁寧に摘出することもおすすめします。また、ウオノメの下部に潰瘍が形成されている場合、細菌感染を防ぐために潰瘍部分の洗浄も行います。
3. 刺激を受けなくなるようなバイオメカニクス的治療・指導
  • ウオノメを治療しても、長期にわたって外部刺激を受ける・体重がかかるような生活習慣を続けていると再発しやすくなります。
  • そのため、根本的な予防および治療として生体力学的(バイオメカニクス)な矯正を行うことも重要です。
  • 靴のインソール(中敷き)やパッド、コットン、気泡ゴムといった保護用グッズの調整により体重や圧力を分散させることができ、ウオノメの再発防止に効果的です。日頃のウォーキングフォームにも注意しましょう。
4. その他の治療
  • 市販薬のスピール膏もサリチル酸を含んでおり、角質硬化作用があります。ただし、ウオノメと自己診断して自己治療するのには多少リスクがあるため、できる限り医師に相談してください。
ウオノメの予防と注意事項:
  • ウオノメができる原因となるような窮屈な靴の着用、不自然な癖による歩行、長時間の立ち仕事・歩き仕事などはできるだけ避けるようにしてください。これらの外的要因を普段の生活からできるだけ排除することが発症・再発を防ぐポイントです。
  • 外反母趾や内反小趾、偏平足、ハンマートゥ、巻き爪など痛みを伴う症状がある場合、その部位をかばって歩行するため、足の別の部位に負担がかかってウオノメができる要因となりやすいです。足の骨格そのものに歪みが出ているケースが多いので、整形外科やリハビリ科で骨格構造を診断してもらうといいでしょう。ストレッチやインソールの活用でも改善・予防することが可能です。

継続的なケアと予防対策を心掛けることで、ウオノメの発症を最小限に抑えることができます。